電車を降りて、
左手にはKFC、
右手にはマクドナルド。
僕はこのような場合は
大抵、マクドナルドに行く。
なぜか?
恐らくそれはマクドナルドに愛着があるからだろう。
昔、数年間マクドナルドでアルバイトをしていた。
たったそれだけの理由だけど。
タイのサービスレベルは
ご存知の通り先進諸国に比べまだまだ高くない。
注文を間違えたり、少し暇になると携帯をいじったり、
座ってしまったりはよく目にする光景だ。
日本では、当たり前の”笑顔で接客”もなかなか難しいようだ。
ただ、できないわけではない。
なんてったって、
僕が仕事帰りに毎日通る夜の風俗通りの女性たちは、
毎日通るたびに満面な笑みで声をかけてくれる。
それもかなり距離があるのに。
少しでも気があるような素ぶりを見せれば、
一直線にこちらに来ては、
身体ごともっていかれる始末だ。
職種はさておき、
そのサービス精神を見習ってほしいと思う。
さて、僕はマクドナルドにいる。
サムライバーガーってな名前の
日本のテリヤキマックバーガーセットを注文する。
会計を済まし、
トレーを受け取りそのまま席に着く。
おっと、ストローを取り忘れてしまっていた。
海外では、ストローは自分で取ることが多い。
また、ケチャップなども日本のように
一個一個袋に入って渡されるものもあるが、
通常、店内ではプッシュ式のボトルに入っており、
底の浅いプラスティックの小皿に自分で取る。
僕はストローを取ったついでに
ポテト用にとケチャップも取ろうとした。
だけど、中身が空だった。
これは、タイで無くてもよくあることだ。
隣にはチリソースのボトルがあった。
私は店員を呼ぶでもなく、それにした。
ただでさえ混んでいる時間滞で
店員さんを呼ぶのが煩わしかったし、
また「どーしても、ケチャップがほしい」というわけでも無かった。
席に戻り、チリソースを浸けながらポテトを食べる。
すると、少し手が空いたのだろう、
1人の男性店員がカウンターから出て来て、
ケチャップのボトルチェックをする。
「ははーん、私の動作を見て、ケチャップが空になったことに気付いたんだな」
とちょっと感心していたら、
その男性店員が私の方に向かって来る。
僕の席の前で止まり、
ケチャップを私のトレーに乗せる。
目が合う。
「どうぞ」というような表情をして、
またカウンターに戻っていった。
僕は予期していなかったことに驚いて
「ありがとう」の言葉も出なかった。
それから、彼がカウンターで忙しく働く様子を見ながら、
ケチャップばかり付けてポテトを食べた。
左手にはKFC、右手にはマクドナルド。
多分、次もマクドナルドに行くことになりそうだ。
コメント〜COMENTARIO〜